2004年02月11日

パトリック&アンジー

と聞いてピンとくる人って、おそらくそんなに多くないですよね。
今朝まで、一ヶ月くらいかけて読んでいた私立探偵のシリーズ小説の主人公の名前なんですが、あまりの名コンビぶりにしびれながら、ついに刊行済みのシリーズを全て読みほしてしまいました。あまりハードボイルドな小説を読んだことないので、他のとの比較はできませんが、これは傑作だと思いますよ。本気でお勧めします。

私は何故か2作目の「闇よ、我が手を取りたまえ」から読み始めたのですが、あまりの面白さに残りの全巻を衝動買いしてしまいました。このシリーズとの出会いのきっかけは『ミスティック・リバー』ですが、いい拾い物でしたね。

参考サイト
デニス・レヘインの本の紹介
・「レへインはせつない」 (by Amazon)

-- 追記 --

デビュー作:「スコッチに涙を託して」
2作目:「闇よ、我が手を取りたまえ」
3作目:「戯れし者に祝福を」
4作目:「愛しき者はすべて去りゆく」
最新作:「雨に祈りを」

評判どおり、「闇よ、我が手を取りたまえ」と「愛しき者はすべて去りゆく」の出来がとにかく素晴らしいです。あ、他の作品も当然面白いです。なんというか、愛するものを喪失する感情を、本を読んでいてこんなに感じたのは初めてです。大げさじゃなくて。
特に「愛しき者はすべて去りゆく」の怒涛のラストから「雨に祈りを」を序盤まで、なんだかパトリックの感じた空虚さがこちらに移ったかのごとく、読んでいて淋しさを感じてしまいましたからねぇ。やっぱり、パトリックとアンジーはコンビでないとね。

とにかく、作者のデニス・レヘインという方は、人間の心に潜む「闇」とか「絶望」、「狂気」の描き方が非常にうまいです。映画『ミスティック・リバー』をご覧になった方だったらよくわかると思います。あの映画は、キャストやスタッフの素晴らしさに目がいきがちですが、もともとはこの作者の原作があっての出来だったんじゃないかな?と私は思っています。ちょっと、ラストの救いのなさ、やるせなさの持っていき場に困る話ではありましたが。
「パトリック&アンジー」シリーズを一通り読んでしまったので、次は『ミスティック・リバー』の原作にチャレンジしよと思ってます。楽しみ半分、恐さ半分といった感じではありますが。

そうそう、「雨に祈りを」の巻末に、「ミスティック・リバー」ともう一冊(おそらく新作「シャッター・アイランド」)を書いたら、「パトリック&アンジー」の新作を書くつもり、と原作者の予定が書かれていたので、こちらも早くも楽しみです。まぁ、翻訳本の出版にたどり着くまではしばらくかかりそうですが。。

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投稿者 shaw : 2004年02月11日 15:59

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