2004年09月20日

「沈まぬ太陽」

実は完読してから結構立つのですが、最近「沈まぬ太陽」(山崎豊子著)を読んでました。
きっかけはこのFLASHムービー。はじめてこのFLASHを見た時は、いろんな意味で衝撃を受けました。

このJAL123便の墜落事故が起こった時、すごく騒がれた記憶はうっすらと残っているのですが、当時私はまだ小学生の低学年だったようで、実はどういう事故だったのか全然知らなかったんですよね。で、上記FLASHで衝撃を受けた私は、早速ネットで事件について調べてみたのでした。上にリンクをはったWikipediaのサイトがとてもシンプルにまとまっていて、概要はすぐにわかったのですが、さらにWEBをさまよっていると、どうやら「沈まぬ太陽」がこの事故をモチーフにした小説だ、ということを知り、一気に購入したのでした。

沈まぬ太陽〈1〉アフリカ篇(上)
山崎 豊子
新潮社 (2001/11)
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おすすめ度の平均: 4
4 かなり感激しました・・・
5 「沈まぬ社会」にしなくては
5 季節

200万部以上売れたベストセラーらしいので、私みたくこの本のことを知らない(さすがにタイトルは知ってたけど・・・)人の方が少ないのかもしれないですね。この話自体は、実在の人物への取材をもとに再構築された、あくまでもフィクションなのですが、全然そう思えない描写が節々にあって、いろいろなことに不信感を持つようになってしまうかも・・・。

-- 追記 --

話の内容は、123便墜落事故が起こる前までの、主人公恩地元が中近東・北アフリカをたらいまわしにされた頃を描いた「アフリカ編」、墜落事故が起こった「御巣鷹山編」、そして、事故後の国民航空建て直しに挑む「会議室編」の3部に分かれてます。事故現場の描写がとても生々しい御巣鷹山編を読んでいて辛くなるのはどうしようもないとして、個人的にはそれ以上に、会議室編での一部の人間が会社をくいものにしている有様の酷さに、その理不尽さから生まれるぶつけようのない怒りみたいな感情をもてあまし気味になりました。

どこまでが本当の話なのか、私には判断つかないのですが、ホテル事業の無計画な投資や、十年の長期先物による損失、国見会長(のモチーフになった人物)の辞任が事実なところをみると、細かい描写を除いてほぼ全て本当の話と思ってもいいのかな、と。けど、もしそうだとすると、こんな腐った会社がよくも今も健在だなぁと思ってしまいますが、大なり小なり、大きな企業だとこういう側面はあるものなのかな、とか、政治家との癒着がある企業だと完全にクリーンな組織はありえないのかもなぁ、と、ちょっと後ろ向きな考え方もしてしまいました。

それにしても、第5巻の帯にでてたコピー「この国を覆う、恐るべき良心の不在」、これほど本の内容を端的にまとめた言葉ないでしょうねー。国見会長と、会長に抜擢された恩地や一部の正義漢達が立ち上がっても、どうにもならない腐敗の数々。最後の最後まですっきりしないまま終わるのですが、かえって嘘っぽさがない分、重みのある終わり方かもしれない。

事故自体は20年近く前のことなので、空の安全性は高まったと思いたいのですが、それでも飛行機という乗り物の恐ろしさを改めて考えさせられることにもなりました。年をとるにつれて、飛行機を使う頻度が少しずつ多くなってきましたが、飛行機を怖いと思ったことはなかったしなー・・・。

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投稿者 shaw : 2004年09月20日 14:01

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