2006年01月02日

『ロード・オブ・ウォー』

昨日は『ALWAYS』の他にもう一本、『ロード・オブ・ウォー』という映画も観てきました。こちらの作品は、『ALWAYS』とはうって変わって、「戦争王(ロード・オブ・ウォー)」と呼ばれたある「武器商人」のお話です。かなり酷い映画でした。いや、映画のクオリティは非常に素晴らしいんですが、主人公が酷いの誤りですね。

1980年代、まだ米ソの冷戦が続いてた頃、この映画の主人公は何か大きなことをしでかしたいと考えた。そして行き着いたのは「武器商人」。ここでいう武器商人とは、個人を相手に武器(銃)を売りさばく売人ではなく、国家レベルで武器の売買を橋渡しする「死の商人」。冷戦の終結後、必要のなくなった過剰な武器は、武器商人たちの手により、ウクライナを代表とする東欧圏から格安で政情不安定なアフリカの各国へと流れていったわけです。ここでいう武器とは、性能の良い銃だけでなく、戦車、装甲車、戦闘ヘリまでなんでもあり。で、当然それらの兵器は内戦で使用され、アフリカの諸民族は大量の血を流すわけですね。

武器商人たちも単に「濡れ手に粟」と片付けられるおいしい商売ではなく、インターポールに目をつけられ、商売客から脅しをかけられと、危険と隣り合わせではありますが、有力な武器商人はうまく危険をすり抜け巨大な財をなしていく。得た血塗られた財産も「自分が直接血を流したわけではない」。しかし実際にはいたるところで血が流され続けている現実。もう最悪です。

なんかね、この間観た『ホテル・ルワンダ』という映画がオーバーラップするんですよね。こちらは10年前にルワンダで起きたジェノサイドの真実を描いていて、もう目を覆わんばかりの現実が待っているんですが、決して生活水準の高くない国に、銃は大量に流通しているという不思議。『ロード・オブ・ウォー』を観て、あぁなるほどな、と。他にも、ルワンダが国連軍に見放され、主人公が失望するというシーンが『ホテル・ルワンダ』にあるんですが、同じく『ロード・オブ・ウォー』で主人公ナレーションが「欧米諸国はボスニア紛争でいっぱいで、アフリカを見捨てた」(かなりあやふや)と言う場面があったりもします。描く時代が重なっていることもあって、妙にリンクしているんですね。

まぁ、なんだ、両作品とも、世界で起きたこと出来事に対する再認識でり、あまり知らされていなかった事実を描いたり、民族紛争だったり、それに対する世間の無関心だったり、まぁいろいろ考える部分もあるし、人によって捉え方は違うかなぁとも思いますが、私はやっぱり一度観ておくべき作品じゃなかろうかと。あー、ぜんぜんまとまりのない文章になってしまったけど、そうことで(単に自分の考えがまとまんないだけなんだけどね、ルワンダのレビューがいつになっても書けない・・・)。

あと、新年早々に、少なくとも元旦に観る映画じゃなかったなぁ。。
作品評価:★4 ※採点基準はこちら

-- 追記 --

オープニング、工場で作られた1発の弾丸の視点でこれからのストーリーを想像させる、という見せ方が秀逸でしたね。

ちなみに、ニコラス・ケイジ演じる主人公は実在する特定の人物がモチーフというわけではなく、複数の有名武器商人を想定して作られた仮想人物だそうです。てっきり鑑賞中は、武器商人から足を洗った人がいて、その人の独白本でもあるのかなぁ、と思っちゃいました。


『ALWAYS』と『ロード・オブ・ウォー』、普通、同じ日に続けて見る映画のチョイスじゃないですよね。まぁ、上映時間の都合もあってこういう組み合わせになってしまったわけですが、せっかく『ALWAYS』を観て温かい気持ちになったというのに、その後にこれじゃ温かい気持ちも吹っ飛んでしまいますよ・・・。またもや失敗。

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投稿者 shaw : 2006年01月02日 16:01

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