2004年01月10日

『ミスティック・リバー』いよいよ公開!

久々に、公開初日の初回で観てきました、『ミスティック・リバー』。この「初日の初回」というのは、先行公開しなかった場合の、私の中での最大限の期待の証です。

で、感想なんですが、もう面白かったとかそういうレベルじゃなくて、傑作とはこの作品のためにある言葉では、と思うくらいの出来でした。私の程度の低い語彙力じゃ、上手くほめることすらできない。。

去年のBESTムービーは『インファナル・アフェア』だと思ってますが、作品を見終わった後の余韻の大きさは勝るとも劣らず、といった感じです。鑑賞後の感想も結構似ている気がします。ただ、『インファナル・アフェア』の場合の余韻は、初めて『レオン』を観た時に感じた「感情移入の大きさ」が大きな原因だったと思うのですが、『ミスティック・リバー』のそれは、一歩引いた視線で見ているにもかかわらずこちらまで葛藤が伝わってくるあたりに大きな違いがありそうです。

地味で重ためのストーリーは、人によっては受けつかないかもしれませんが(少なくとも一般受けする映画ではないでしょう)、「人間ドラマ」というジャンルが嫌いじゃなければ必見の作品だと思います。

作品評価:★5 ※採点基準はこちら

-- 追記 --

以下、先ほど久々にシネスケでまじめに書いたレビュー


ボディーブローを受け続けて、鑑賞後は真っ白になりました。

さすが全米で絶賛されただけあって、ものすごく濃度の高い、洗練された傑作でした。脚本良し、演技良し、そしてこれまでイーストウッドが監督として培ってきたもの全てを注ぎ込んだ演出。完璧だと思います。
私は最後までひりひりとした緊張感のなかで、ボディーブローを受け続けた気がします。正直、映画が終わったあと、いろいろともやもやした感情を残しつつ、ホッとしちゃいました。面白い映画を観て、もう終わっちゃうのか、と思うことは多々あっても、安堵してしまったのは今回が初めてではなかろうか。

ストーリーについては、個人的に思うことがいろいろあり、かなりきつかったです。一人娘を失う父親の心情、というのはこれまでもいろいろな映画で描かれてきたと思うので、そこまで珍しいものじゃないかもしれませんが、そこに幼馴染という関係と過去の重いトラウマが絡み合って、私は切なくなりました。

そして、この映画の完成度をここまで高めたのは、やはりキャスティングの妙が大きいでしょうね。ショーン・ペンは相変わらず上手いしケビン・ベーコン・ローレンス・フィッシュバーンの刑事コンビもなかなか渋い雰囲気を出していて良かったのですが、今作はなんといってもティム・ロビンスの自然体演技が嵌りすぎていて恐いくらいでした。この人は、一見何を考えているのかわからない役が、すごく上手い(というか、もともとそういう顔をしている?)と思います。今年のオスカーは、渡辺謙が助演男優賞を獲れるかというのが一つ話題になりそうですが(まだノミネートが発表されてないけど)、私だったらティム・ロビンスの票を投じるなぁ。

地味だし、ストーリーもかなり重たいので、少々観る人を選ぶ作品かもしれませんが、「人間ドラマ」というジャンルが好きな人は必見だと思います。

まだ今年になって片手で足りるくらいしか映画をみてませんが、はやくも2004年のBESTムービーの予感。言い過ぎかなぁ。。



これ以上書こうとすると、ネタばれモードに突入してしまいそうなので控えておきます。
個人的には、鑑賞中、ある出来事と重ね合わせてしまって、観たことを少々後悔したのも事実だったり。人間、記憶と感傷に生きる動物なのです、所詮は。

それにしてもラスト、作品の終わらせ方はモゴモゴ・・・。感じ方は人それぞれでしょうけど、やっぱりイーストウッドならではも皮肉が込められているんだろうなぁ。けどあれじゃぁ、って言いたいことだらけです。決して納得はできないですよねー。

是非、多くの方に観てもらって、感想を聞いてみたいところです。

そうそう、あと一点。
ワーナーさんの公式サイトTOPで「もうひとつのスタンド・バイ・ミーを見るために、あなたは大人になった。」というコピー、私にはさっぱり理解できません(笑)。

関連リンク: eiga.com ミスティックリバー特集

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投稿者 shaw : 2004年01月10日 15:16

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